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僕らの視界には、
ほんとうはずっと「鼻」が入っているらしい。

いや、
「らしい」というより、実際入っている。

試しに片目を閉じてみると、
うっすら鼻の輪郭があるのがわかる。

でも普段は、
ほとんどその存在を気にしていないし感じない。

脳が、
「これは重要じゃない」
と判断して、消しているから。

つまり、
見えていないのではなくて、

見えているのに、
見えないことにされている。
そして実際に、見えない。

これ、
なんだか人生そのものみたいだなと思った。

たとえば、

毎日ちゃんと布団で眠れること。
蛇口をひねれば水が出ること。
帰る場所があること。
なんとなく会話できる相手がいること。

そういうものは、
たしかに人生の視界に入っている。

入っているのだけど、
脳が「あたりまえのこと」と処理して、
景色から消してしまう。

逆に、

不安とか、
不足とか、
不満とか。

そういうものは、
やたら存在ありきで前に出してくる。

たぶん脳は、
そっちのほうを「生存に必要な情報」だと思っている。

だから放っておくと、
人生は不足だらけに見える。

でも実際には、
鼻みたいに、ずっとそこにあるのに、
脳が背景化しているものが大量にある。

まぁ、
だからといって、

「感謝しましょう」
みたいな話に着地したいわけでもない。

なんというか、
「脳って、かなり勝手に世界を編集しているんだな…」
と思っただけ。


しかも当の本人は、
編集されていることにすら気づいていない。

一度、黄色いものを見る、
って言ってから周囲をみてみたらいい。
あーら不思議、
黄色いものばかりが自己主張してくることに気づく。

見ようとしなければ見えてこない世界に住んでいる、
ともいえる、そんな僕らの世界。


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