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今週、三日間だけ、とある仕事に従事することになっている。
不定期かつ、単発でしか入らない仕事、
この仕事には、もう十数年関わってきた。
おそらくそのキャリアを買われているのだろう、毎度、お声がかかる。
今回もそうだった。

十人ほどのメンバーで、役割を時間ごとに交代しながら回す仕事だ。
日ごとに数人ずつメンバーが入れ替わる。
今日が、その初日だった。

取りまとめ役として、いわゆるリーダーがいる。
指示系統の橋渡しをし、メンバーからの質問を受け、全体を滞りなく進める役割だ。

ちなみに僕より年上だろう女性で、これまでに何度も顔を合わせたことがある、まぁかなりのベテランさんだ。

リーダーが音頭を取り、朝のミーティングが始まり、
自己紹介、役割分担、注意点と話が進む。
その途中で、メンバーのひとり、禿げた中年の男性が、リーダーの言葉を遮った。
しゃしゃり出てきて、自分が代わりに説明を始めたのだ。
リーダーは、やれやれ、という表情で困っている。
あぁ、こういう朝か、と思った。

やがてその男性は、僕の担当について語り始めた。
だが、それはそもそも彼の役割ではないのだ。
僕は彼の方を見ず、リーダーの方だけを見て、彼女から話を聴く姿勢をアピールした。
正規の説明は、あくまでリーダーがすべきもの。
それだけの話だ。
結果として、主導権は自然にリーダーへ戻った。

どんな小さな集団だって、
組織には組織なりのルールってものがある。
僕はそういう秩序みたいなものを守りたかったからだ。

場面がかわったその後、
聞いてもいないのに、その男性は語り始めた。
自分がいかにこの業務に精通しているか、どれだけキャリアがあるか、
指示元とも顔見知りだ、という話まで。
聞けば、ここ数年、この仕事に従事しているらしい。

ほぉ…数年で、そこまで言うか。
正直、そう思った。

僕は、そういうのは、いわゆる粋(イキ)ではない、と思っている。
ひけらかすものでもないし、むしろ、黙ってやっている方が楽だったりする。
言葉は悪いが、内心では、馬鹿者の所業だとさえ感じていた。

それでも、この男性の鼻をへし折ってやりたい、そんな衝動に負けてしまった。
僕は、十数年この業務に関わってきたことを、ぽろりと明かした。
まぁ、機会を見ながら、意図的に。

すると、彼は一瞬、言葉に詰まり、それきり静かになった。
勝った、という感じはなかった。
むしろ、言わなくてもよかったな、という後味の悪さだけが残った。
キャリアの年数を持ち出した時点で、
僕もまた、同じ土俵に足を踏み入れてしまった気がしたからだ。

自己顕示欲というのは、
自分の価値を外に向かって確認したくなる、
ちょっとした癖みたいなものだ。
癖だから、本人は無自覚で、
気づくのはだいたい周りのほうだ。

ただし、その癖が出てしまう瞬間は、誰にでもある。
僕にも、あった。

初日というのは、
仕事の顔より先に、
自分の癖や弱さをそっと見せてくるものらしい。

三日間だけの仕事だ。
大きな波風は立たなくはない。
それでも、今朝のあの出来事は、少なくとも僕の中では、
なんともヘンなヒリヒリ感として残っている。

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