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40年も経っているのに、
今でも、たまに思い出すことがある。

高校2年生、
進級して間もない春だった。

ある日の朝、
教室に入ると、
雰囲気がいつもと全く違っていた。

近くにいた友達に、
「ん?何かあったの?」
と聞くと、

「Mが死んだ…」と。

「え?」
あまりにも、現実味がなく、
いろいろなものが追いつかなくて、
ただただ絶句。

つい2、3日前に、
遊んだばかりだった。

他のクラスだったが、
僕の家にも何度も遊びに来たことがある、仲の良い友達だったM君。

16歳、バイクの事故。
バイクの中型免許を取ったばかりだった。

そのあと数時間後に知ったこと。

バイクの後ろ座席に乗っていたのは、
僕と同じクラスのA君で、
肩やあばらの骨を折る重傷。

この日は、なぜか、
朝のホームルームで、担任教師が来なかった。

そして、そのまま、
みんなが心沈む何とも言えない雰囲気の中で、
授業が始まった。

1限目は科学の授業だった。

科学の教師Sが、
こう言った。

Mが亡くなった。
こんなに若くして亡くなるとはね。

バイクなんか乗るもんじゃないんだ。
とか…
細かい事はあまりよく覚えてはいないが、
生徒の雰囲気とは反対に、
悲痛な様子を見せるでもなく、
僕には、人ひとりが亡くなったとて、
ましてやそれが教え子なのに、
何も感じていないで、
ただ淡々と話すように見えた。

そして、
教師Sは続けてこういったのだ。

「出血多量だって…
なら気持ち良く死ねて、
まだよかったんじゃないか?」
って。

そのあとも、
死因が出血多量の場合、
意識が薄れていき、
痛みを感じることもなく、
いかに苦しまずに絶命するかを科学的に説明した。

「え、、、」
なにそれ?
わざとなのか、なんなのか、
空気読まなすぎてないか?

あまりの展開に、
呆れたのか、
誰も、その流れを遮る発言もなし、
説明の終わりまでひとしきりクラスは沈黙した。

クラス総員にひんしゅくをかい、
教師Sはそれ以来、
血も涙もないサイコパス野郎として(あの頃はサイコパスなんていう言葉は誰も知らなかったが…)嫌われて続けた。

あの頃は、
教師Sの言葉、
なんの意図だったのか、
全く理解できなかった。
あるいはしようともしなかったのだろう。

が、、、努めて理解できるなら、
どういう思いだったのか?を、
ふと探ってみたくなった。

SはSなりに、
言い方は、まぁあるとして、
起きてしまった事故、
そして死の事実は覆らない。
また、科学の教師というところを最大限に鑑みて…
であれば、
いかに苦しまないで逝ったのか、
それを科学的に説明したのだろうか、
苦しまずに…
それがせめてもの救いとでも言いたかったのかなぁ…
なんて、

そんな風に思えないでもない。

しかし、
そう考えてみても、あの言葉が正しかったとは、今でも思えずにいるし、
あのとき教室に流れていた空気だけは、今もなお、どうしても肯定できないままでいる。

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