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「一旦バカを挟む」
今朝、妻が出勤の支度をしながら、
ぽつぽつと職場の愚痴をこぼしていた。
その流れで出てきた言葉が、これだった。
組織って不思議で、良くも悪くも、
リーダーひとりの癖や呼吸がそのまま全体に染みる。
たいしたことじゃなさそうに見えて、あとから振り返ると、
「あぁ、あのときからズレ始めてたんだよな…」と気づく。
で、これがまた妙で。
一度でも
「え…この人が長なの?」
と思う人がトップに座ると、軸はゆっくり、でも確実に傾く。
その傾きは地味だ。
大騒ぎになるわけでもなく、少しずつ逆転が起きる。
ずる賢い人が得をして、真面目な人が損をする。
そんな体制に、ゆっくり形を変えていったわけだ。
妻の職場も今その真っ最中。
わがまま放題の人物を誰もまともに扱わなかった結果、
その自分勝手さだけが「基準」になった。
新しい上司が来ても流れは戻らず、横柄さだけが通る。
そりゃ、不満もたまる。
一度染みついた空気は抜けにくい。
まともな人が来ても、「元・バカ上長基準」に引っ張られる。
土台がゆるむって、こういうことだ。
厄介なのは、バカ本人よりも、
周囲がその適当さに慣れてしまうこと。
慣れは静かで深い。気づいたら、もう動けない。
だから、誰が長になろうと、
こびりついた「ゆるさ」や「あきらめ」は落ちない。
台所の古い油汚れみたいに、しぶとく残る。
世の中には、すでに「挟まれた後」の組織があちこちにあり、
そこで働く人たちは折り合いをつけながら今日を回している。
妻の不満もよくわかる。
「あぁ、そうなると大変なんだよな…」と、
話を聞きながら共感するだけだ。
話を聞きながら共感するだけだ。
それでも誰かが
「いや、それはおかしい」と言えば、少しは空気が動くかもしれない。
でも、新しい上司は面倒くさそうで、のらりくらり…
バカを二人挟むと、もうね…諦めるしかない。
結局、真面目にやるほど損する仕組みは人が変わっても残る。
皮肉なことに、それに気づいた人ほど疲れて去っていくのだ。
こうして、なんとも空しい話になってしまう。
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