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3.11、今日で、あの東日本大震災から11年。
もうずいぶん昔のようにも思えるし、
ある部分では最近の出来事のようにも思える。

僕が今でもたまに思い出す人、
その人は、僕の母の友人なのだが、
パートの同僚であっただけでなく、
お互いの相談相手としてとても懇意にしていた間柄だ。
話の都合上、仮にYさんとしよう。

Yさんは、姑と旦那、そして2人の娘と暮らしていた。おとなしい性格からか、姑の憂さ晴らしのターゲットになっていたような、家の中では虐げられた存在だったそうだ。
全面的に姑側の旦那氏、Yさんはこき使われるだけの奴隷のような立場にも近かったのかもしれない。パートで家の外に出る時が気晴らしできる唯一の時間だったようで、家に戻りたくなかったのか、仕事帰りによく母を喫茶店に誘ったのだそうだ。母にはそこで自分の身の上のことをいろいろ話して聞かせていたそうだ。
母もそんなYさんのことを哀れに思い、できるだけ相談には乗っていたそうだ。

母がパートを辞めてからは、たまに電話で話す機会はあったのだが、それまでに比べれば話す機会もめっきり減った。

しばらく連絡も途切れていたそんなある時、
Yさんから連絡があった。
実家のある東北の田舎町からだった。
なぜ今ここにいるのか、
Yさんは長年にわたり姑は旦那との折り合いが悪く、そんな積み重ねからか、心に不調をきたしていったのだそうだ。
ノイローゼ気味だったのだろうか、時々様子がおかしくなることがあったそうで、
そんな奇行や時に弱った状況を見るやいなや、お前はキチガイなのだからうちには置いておかれない、里に帰れ!と言われていたのだそうだ。
そしてある日、Yさんが外出し戻ろうとするともう自宅には入れない状態になっていたという。
入れてほしいと懇願するYさんに家族の誰からも返答はなかったという。娘たちからの声も…

それだけではない、Yさんの荷物という荷物のすべてを実家に勝手に送りつけてしまった姑夫連合。

とても悲しかったが実家に帰るしかないと、
失意のなか泣く泣く戻ったのだと母に言ったそうだ。
あまりのひどい仕打ちに母は絶句したという。
さらに、どういう事情かは知らないがいつのまにか離婚もされていたとか。
法的に対応したらいいとアドバイスしたが、もう心の力も衰弱したYさんはそのままにした。

Yさんの実家は岩手県山田町、田舎の漁師町だ。
実家に戻ってからは、漁に使う網の修復のアルバイトをしていた。
アルバイトをして貯めたお金は、娘たちの誕生日にはプレゼントを買いそれを送った。
が…
心を込めて送ったプレゼントの全てが、すぐに送り返され、
何度手紙を書いても、封も開けられずに送り返されてきたのだという。
そのたびに泣いて母のところに電話してきて、辛い心の内を語った。

「どんなふうになっているかなぁ」「娘たちに会いたいと…」

時には母に、こっそり娘たちの様子を見てきてくれないかとお願いもしてきたのだとか。
そんなこんなしながら時は流れ、
娘が成人になった。
苦労して溜めただろうに…
成人祝いを贈るも梨の礫。
晴れ着姿の写真くらい送ってくれるかと期待もしていたが、それも叶わなかった。
とうとう連絡は何もなかった。
その年のこと、
2011年3月11日、Yさんの実家のある岩手県山田町が大きな被害にあっていることを知るや、
母はそれから安否確認の電話をYさんの実家にした。

年老いたご両親は無事だった。
が、あの日、Yさんは家で昼食をとったあと網の修復のアルバイト先の漁港近くの作業場に自転車で向かった。
そしてそのまま帰ってこない…
おそらく津波にのまれてしまったのだろう、
いまだ行方不明のまま。

他人のことながら、報われない、なんて憐れな人生だったろうと思ってしまう。

母は、僕に頼んで安否確認のWEBサイトへ、
母の携帯電話番号を載せYさんの安否情報を求める投稿を行った。

その後、WEBサイトのYさん欄にコメントが載った。
「おかあさん、ごめんなさい」

母に知らせた。
「あぁもしかしたら○○ちゃんかも…」

その後しばらくして、母宛に電話があった。
Yさんの娘さんからだった。
母はYさんとのこれまでのやり取り、
どんなにかあなたに会いたがっていたかをそのまま伝えたそうだ。

母はYさんになぜ連絡しなかったかは聞かなかったが、
娘さんはまさかこんなかたちでの別れが来るとは思っておらず、
いつか…とは思っていたもののおそらく永遠に叶わぬ再会となってしまったこと。
自分の行動をひどく後悔していたそうだ。

コメントに入れたのは?
と聞いた母に
「私です」と。
いろいろな想いで押しつぶされそうになり、
あれがすべてで、精一杯だったと。

娘さんから、もぅお母さんを安否情報サイトに載せるのをやめてほしいといってきたので掲載を取り下げた。
見るのが辛かったのか…

娘さんの後悔の念も少しは想像がつく。

Yさんも、娘さんも、
どうしたら良かったのかなぁ…
って思ったり。


いつか…
って、思っていること僕だってたくさんある。
和解したい人、再会したい人、行ってみたいところ…ほかにも…
結局は先送りしていて、
やろうとしていない。

まだ時間がある、って、勝手に思っているから…

でもこの先もあるなんて…
そんことは何の確証もなく、わからないんだよね。
自分だっていつこの世を去ってしまうかだってわからないのだし。

後悔先にたたずって言うけれど、
ほんとそうね。

僕がこの世を去るときの心を想定してみる。
後悔しそうなこと、考えただけですごくあるぞ。
どうしよう😓

また今日の3.11に、
Yさんのことを思い出したので記事にしてみた。

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