昨日は、亡くなったはずの飼い猫との不思議な出来事、僕の不思議体験(その4)「優しい猫、トラ」という話でした。

「マカオで体験したちょっと怖い話」
今日は、海外での旅行先で経験した不思議な体験の話を。

僕は就職内定も決まった大学4年の時、バブル真っ盛りの時期。
世間は浮かれ、学生といえど氣分だけはリッチな感じで海外旅行なんてあたりまえの時代。

卒業旅行もかねて、友達と香港マカオに旅行に行った。

僕は二度目の香港マカオ、友達は初めて。
当時はしりだった格安航空券チケットを買い、
ホテルも自分たちでとる、完全個人旅行。
まだ当時は中国に返還される前のこと。そんな時期の話だ。

1泊目は香港で100万ドルの夜景ヴィクトリアピークなど有名観光地をめぐり、

翌日はジェットホイル(ジェットエンジンが搭載された高速船)でマカオに行き、
やはりメジャーな箇所を市内めぐり観光をして1泊する行程だった。
で、行き当たりばったりでホテルを探し宿泊することにした。

安全を考え、そう安宿でもなくけっこう立派なかまえの、なかなかよさげなホテルだった。
キーを渡された部屋に入ると、中華圏特有の装飾がされた部屋で、

まぁ、こんなものか。
と思いつつも…

なんとなく息苦しい?ような雰囲気がしていたのが少しだけ氣になってはいたが、
疲れもあるのかな?なんて、氣のせい氣のせい…とそんな不安を払拭した。

そのホテルのレストランで食事をし、部屋に帰ってシャワーを浴びた後、
ツインの部屋だったのでお互いのベッドの上であぐらをかき、
ビールなんか飲みながら話をしていたのだ。

まぁたわいもない話しから、高校の時の思い出話なんかをしていた。
のだけど、、、

すこしして、、、

あれ?
なんかヘン?
じゃない?

僕がしきりに話しているのに、
目の前にいる友人からの反応がない。

なんとも言えない恐怖が襲ってきた。

僕から友人側を見ている先の世界が、
粒子の粗い写真のように見える。

「ねぇ、どうした?」「大丈夫か?」

僕のほうがおかしいのではなく、友人の方がおかしくなっているのだという考えだけしかなかった。

僕は一生懸命友人に向け話しかけているのだが、
依然返答はなく、

相手はストップモーションのように静止しているではないか!

その異常な状態に、急に現実味を感じて、
ただ事ではないことが起きているのだと認識した。

そこで、自分と友人の間の空間が揺れていることに氣づいた。
更に怖くなり全身鳥肌が立つのを感じた。

ちょうど無色透明のカーテンが、かすかな風に揺れるように、歪んでいる。
そして世界全体が少しだけ緑がかった感じに見えるのだ。

なにか異世界に入りこんでしまい、
二度と戻れなくなってしまう?
なんていう思いがよぎったかと思うと、
一段と怖くなって、心は流石に慌てだした。

そんななかでも、
なにか打開する術はないかと、周囲を見渡した。

左を見ると、そこに鏡がある。僕と友人のベッドの間だ。
さらに見渡してみると、今見た鏡の真向かい、
つまり僕の右手にも鏡がある。

この時に初めて氣がついた。

合わせ鏡になっていることに。

ん?合わせ鏡?

子供の頃からの霊体験や、霊能に長けたおじの影響もあり、
昔からオカルトというか迷信というか、そういう類の世界の話にはわりと馴染んでいる僕。

うろ覚えながらも、霊界と時空を超えて繋がる作用があるなんていう話を聴いた覚えがあることを思い出した。

そのとき、とっさに思いつきで、自分のベッドから勢いよく友人側のベッドに飛び込むようにしてジャンプした。

こうしてなんとか異世界から脱出ができたのだと思う。
幸いにして友人側の世界(これが通常世界だった)へと抜け出せたのだった。

友人は涙目になっていて、今にも泣き出しそうな感じになっていた。

「あぁ、怖かったよ〜」
「俺がいくら話しかけても動かないままで…」

そして聞けば、やっぱりそのとき空間がゆらゆらと歪んで見えたという友人。

そうか…
あちらはあちらで、僕側の世界が止まってみえていたのか。

もうこの時点ではなんの違和感や空間の歪みみたいなものも感じられなかったが、
また起きるのではないかと、それが氣がかりで…
効果があるのかわからないまでも、二人で工夫して鏡をバスタオルで覆えるように工作した。

予想もしなかったおかしな体験をした僕らは、
明け方まで喋り続けた。
どちらともなくいつの間にか眠りに落ちていたようで、
氣がつくとすっかり日が昇った快晴の朝だった。

こんな体験はしたものの、
残りの旅の行程は問題なく、
無事に帰国の途についた。

帰国後に、合わせ鏡について調べてみたのだけど、
邪悪な儀式に使われる説や、霊の通り道を開いてしまうとか、悪霊封じ?
まぁオカルト色たっぷりの情報にしか出くわさなかった。

はからずも、
なにかが起きても仕方がなかったような、おかしな部屋に宿泊してしまったというわけだ。

僕らが泊まったあのホテルの部屋は、どうして合わせ鏡になんかしてあったのだろう?
あのホテルの他の部屋はどうだったのか?いまになっては知る術もないが…

とても気味が悪く、もう経験したくない怖い体験だった。